ドクターU幻語新作5【汚言症】

ドクターU幻語新作5【汚言症】

【汚言症】おげんしょう coprolalia
人前で言ってはいけない卑劣な言葉や社会に受け入れられないような不適切な言語を多様する症状。音声チックの一種と考えられTourette症候群*に特徴的な症状とされている

どうもどうも。ご無沙汰いたしておりました。
久しぶりのブログUPとなります。暫くの間、執筆の時間が取れませんでした。続けて読んでくださっていた皆さますみませんでした。通院中の患者様もこのブログに目を通す方もいて、外来でちょっとした話題になることもあります。

さて今回の用語は「汚言症」でございます。

「汚言症」の意味は上記のとおりですが、Tourette症候群*以外でも認められることがありメディアに出ている人でも、その人の「癖」を見ていると、これは汚言症かなと思うことはあります。Tourette症候群*でも10%以下しか見られないそうです。
Tourette症候群*の重篤な例では汚言を突然の頭の中で思いつく精神汚言(mental coprolalia)がよく見られるとも言われています。

汚言発生のメカニズムは運動性チックと同様未解明な部分が多いようです。
Tourette症候群*は遺伝的にも研究されていますが約50%に注意欠陥多動性障害が合併し、40%に強迫神経症が合併するとカプランの教科書に記載されています。最近の研究ではチックの重症度を決定するいくつかの候補遺伝子があるとのことです。

Tourette症候群*は子どもによくみられる障害であり成人とともに軽減するという報告もありますが症状が残っている方もいて生活上深刻な問題を呈している場合もあると思います。上記の合併する障害に加えて生きにくさからくる抑うつなどの情緒的問題が生じる恐れがあります。

治療としては現在では非定型抗精神病薬を中心とした薬物療法と行動療法などの心理療法の併用とされています。こうやって記事にするといろいろとご指摘と問い合わせが来そうですが、私自身は重症のチックやTourette症候群*の治療の経験はございません。このブログを作成するために集めたいろいろな情報を総合しますと極めて苦しい日常生活を強いられ治療も専門的かつマンパワーを要する介入が必要になっているように感じました。

私の周りにも私人を含めて思わず不適切な言語を使ってしまい、後から自己嫌悪に陥ってしまうことがよくあります。

「ワタクシの汚部屋にようこそ。汚らわしい汚菓子をどうぞ。×××」
失礼しました。ふざけすぎました。理事長に怒られます。これから気をつけます。ごめんなさい。

Tourette症候群*=音声チックを伴い複数の運動チックが、一 年以上持続する精神神経疾患(出典元「難病情報センターホームページ(平成29年3月現在)から引用」)