臨床倫理指導

臨床倫理指導

医療法人へいあん平安病院臨床倫理指針

私たちは「心を病める人にへいあんを」の基本理念のもとに療養者への貢献を第一義とし、家族とともに、地域とともに、よりよい医療を提供するための努力を続けています。

近年精神科医療においては他の医療にもまして、患者の権利を守ることが重要であります。
たとえば精神科医療を受けることによって、患者の人権が損なわれることがないように、また治療に伴ってこれまで継続されていた適正な生活の質の低下がないように、さらに安全性が保たれていること、現在の医療水準に見合った必要で十分な医療の提供がなされているのかなどに留意していかなくてはなりません。

私たち医療従事者は常に自己の良心に従い、患者の最善の利益のために行動すべきですが、患者の自律と公正な処遇を保障するためにも同等の努力を払うべきです。

私たち医療法人へいあん平安病院では各職員がリスボン宣言に示された、以下に示す患者の主要な権利を認容し擁護する立場であることを理解し、ここに当院の臨床指針として守っていくための努力を続けていきます。

原則

(患者の権利に関する世界医師会リスボン宣言1981に準拠するが精神科治療に関係した項目については当院独自の検討を加えた。検討した重要事項は太字で示した。)

1.良質の医療を受ける権利

  1. a.何人も差別されることなく適切な医療を受ける権利を有する。
  2. b.すべての患者は、臨床上および倫理上の判断を外部干渉なしに自由に下すことが期待できる医師からケアを受ける権利を有する。
  3. c.患者の治療は常にその患者の最善の利益に照らしてなされるべきである。患者に適用される治療は一般的に受け入れられた医学上の諸原則に沿うものでなければならない。
  4. d.質の保証は医療において欠くべからざる要素である。とりわけ医師は、医療の質の擁護者としての責任を担うことが強く求められる。
  5. e.供給に限りのある特定の治療を必要とする複数の患者の間で選択が必要になる場合、これらすべての患者は公平な選択手続を受ける権利を有する。この選択は医学的基準により、差別無くなされねばならない。
  6. f.患者は継続性のある医療を受ける権利を有する。医師は医学的に適切なケアが一貫性を保って患者に提供されるよう他の医療提供者と協力する義務を負う。 医師は、患者がそれに代わる治療の機会が得られるような適切な支援と十分な配慮をすることなしに、医学的に必要な治療を中断してはならない。

2.選択の自由

  1. a.患者およびその家族は、民間であると公的であるとを問わず医師や病院あるいは保健サービス施設を自由に選択し変更する権利を有する。
  2. b.患者およびその家族は医療のどの段階においても別の医師の意見を求める権利を有する。(セカンドオピニオン)

3.自己決定権

  1. a.患者は自己決定権、すなわち、自分自身について自由に決定を下す権利を有する。医師は患者が下そうとする決定によりどんな結果がもたらされるかについて患者に情報を提供すべきである。
  2. b.判断能力のある成人患者はいかなる診断手続あるいは治療であれ、それを受ける事を承諾あるいは拒否する権利を有する。 患者は自己決定をおこなう上で必要な情報を得る権利を有する。いずれの検査や治療についても、その目的、もたらされる結果、拒否した場合に予測される事態を患者が明確に理解できるよう配慮されるべきである。
  3. c.患者は医学の研究・教育の被験者・教材となることを拒絶する権利を有する。
  4. d.精神疾患等で判断能力がない場合は該当する法律(精神保健福祉法、医療観察法、児童福祉法など)に照らし合わせ、できうる限り患者の権利が擁護されるように配慮する。次の4,5を参照。

4.意識喪失患者

  1. a.意識の無い患者あるいは自己の意思を表現できない患者の場合、インフォームドコンセント、説明と同意はできる限り患者の法律上の権限を有する代理人(法定代理人)に求めるべきである。
  2. b.法定代理人の不在時に医療処置が緊急に必要になった場合、患者がこうした状況下での医療処置を拒否する意思あるいは信念を明らかにしていない限り、患者の承諾があったものとみなす。
  3. c.自殺企図により意識を失っている患者に対しては、患者の意思に関わらず常に救命に努めるべきである。

5.法的無能力者

  1. a.患者が未成年者、法的無能力者、治療上必要があって法律(精神保健福祉法、医療観察法など)に従って本人の同意なしで入院している場合、 本来なら患者の同意が必要な状況では患者の法定代理人の同意を求めるべきである。その場合であっても、患者をその能力の許す限りにおいてできるだけ意思決定に参画させるよう努めるべきである。
  2. b.患者が法的無能力者であっても合理的な判断を下すことが可能な場合には、その判断を尊重すべきである。その患者が法定代理人への情報開示を禁止する意思表示をした場合、その意思に従うべきである。
  3. c.患者の法定代理人、あるいは患者から権限を付託された者が、医師の立場から見て患者の最善の利益にかなうとみなされる治療を禁止する場合、医師は関係する司法機関などに異議申立てをおこなうべきである。 緊急を要する場合、医師は患者の最善の利益に即して行動することが求められる。

6.患者の意思に反する処置・治療・行動制限

  1. a.患者の意思に反する検査、処置、治療(治療上必要と医師が判断した行動制限)は、該当する法律が特に許容し、かつ医の倫理の諸原則に合致する場合にのみ、例外的に行なうことができる。
  2. b.特に拘束、隔離については法に厳密に従い、適切に行われているかどうか検討することが必要である(毎朝の全体ミーティング、行動制限最小化委員会で頻回に検討する)
  3. c.閉鎖病棟等で精神疾患のため、医師の判断で治療上行動が制限されている個々の患者についてもその開放処遇について 検討する場(毎朝の全体ミーティングでの検討、患者-スタッフミーティングでの責任レベルの検討、個別カンファレンスなど)を設け、できうる限り開放的処遇を受けられるよう努める。
  4. d.現在開放処遇に関しては診療会議の下部組織として患者・医療者パートナーシップ強化のための会議を持ち、「治療共同体」の概念のもと患者の「責任レベル」を検討する場を整備していく予定である。

7.情報に関する権利

  1. a.患者は自分の診療録(カルテ)に記載された自分自身に関する情報を開示され、自己の健康状態(自己の病状についての医学所見を含む)について十分な情報を得る権利を有する。 しかし、カルテに記載されている第三者に関する個人的情報はその第三者の承諾なしには患者に開示すべきではない。
  2. b.情報開示により患者の生命あるいは健康に重大な害を与えると信ずるに足る理由がある場合には、例外的に患者への情報開示を差し控えることができる。
  3. c.情報開示は患者の属する文化的背景に従い、患者に理解可能な形でなされるべきである。
  4. d.患者がはっきり望む場合、第三者の生命の危機に関与しない限り、自己の情報を知らされずにおく権利を患者は有する。
  5. e.患者は自分に代わって自己の情報の開示を受ける人物を選択する権利を有する。

8.秘密保持に関する権利

  1. a.患者の健康状態、症状、診断、予後および治療に関する本人を特定し得るあらゆる情報、ならびにその他すべての個人的情報の秘密は、 患者の死後も守られねばならない。ただし、患者の子孫が自らの健康上の危険に関わる情報を知る権利は、例外的に認められる。
  2. b.秘密情報の開示は患者本人が明確な承諾を与えるか、法律に明確に規定されている場合のみ許される。他の医療従事者への情報開示は、 患者が明確な承諾を与えていない限り、業務遂行上知る必要がある範囲内でのみ許される。
  3. c.患者を特定することが可能なデータは保護されねばならない。データの保護はその保存形態に応じて適切になされねばならない。 個人の特定が可能なデータが導き出されうる生体試料や標本も同様に保護されねばならない。

9.健康教育を受ける権利

  1. a.何人も十分な情報・知識を踏まえて自己の健康や保健サービスに関する選択が行なえるようになるため、保健教育を受ける権利を有する。
  2. b.その教育には健康的ライフスタイルや疾患の予防・早期発見の方法に関する情報が含まれねばならない。自分の健康に対する自己責任が教育の中で強調されるべきである。医師はこうした教育的努力に積極的に関与する義務を負う。

10.尊厳性への権利

  1. a.患者の尊厳およびプライバシーは当院の医療や教育の場において常に尊重されねばならない。
  2. b.患者は最新の医学知識の下でその苦痛から救済される権利を有する。可能な限り疼痛やその他の不快な症状を緩和し、患者・家族の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療及びケアを行う。
  3. c.患者は人道的な終末期医療(ターミナルケア)を受ける権利、およびできる限り尊厳と安寧を保ちつつ死を迎えるためにあらゆる可能な支援を受ける権利を有する。

11.宗教的支援を受ける権利

  1. a.患者は霊的および倫理的慰安(自分で選んだ宗教の聖職者の支援を含む)を受ける権利を有し、また拒絶する権利も有する。

12.終末期医療に関する病院方針

  1. a.終末期医療の場合も、できる限り患者の自己決定に従うことが重要である。すなわち、患者本人が意思表示できる間に、 延命治療等終末期医療に対する患者の希望について意思確認を行う必要がある。終末期の医療内容の開始、変更、中止等は、医学的妥当性と適切性を基に患者の意思決定を踏まえて、 多専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームによって慎重に判断すべきである。(カンファレンス、ケース会議等)治療方針の決定に際し、患者と医療従事者とが十分な話し合いを行い、 患者が意思決定を行い、その合意内容を文書にまとめておくものとする。
  2. b.終末期において、上記が確認ができず、意識の無い患者あるいは自己の意思を表現できない患者の場合、延命治療等については次の手順に従って慎重に行う。
    1. i.家族等の話等から患者の意思が推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とし、家族にも説明と同意を得る。
    2. ii.患者の意思が推定できない場合には、家族等の助言を参考にして、患者にとっての最善の治療方針をとる。
    3. iii.家族や家族に準ずる者がいない場合、家族等が判断を示さない場合、家族等の中で意見がまとまらない場合等には、家族あるいは法定代理人を交え多職種で会議を行い患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
  3. c.上記で判断がつかない場合、あるいは特別な問題が生じた場合には倫理委員会で検討し判断する。
  4. d.いかなる場合であっても積極的安楽死や自殺幇助は当院の医療として認めない。

↑ページ上部へ戻る

診療案内

■受付時間
・月~土8:00~12:0013:00~17:00
(※土曜午後は要予約)
■診療時間
・月~土9:00~12:3014:00~17:30
 
■休診
日曜日・祝日・8月1日(創立記念日)・年末年始

お問い合わせ

医療法人へいあん平安病院

〒901-2553
沖縄県浦添市経塚346番地

TEL:098-877-6467
FAX:098-877-7320

お問い合わせフォーム

アクセスマップ

平安病院のブログ

広報誌「ぼらん」

イベントカレンダー